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pkmnのデンジ・オーバとその周辺を愛でる非公式ファンブログ
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デンジとオーバが銭湯に行く話
アニメデンオ



















ずいぶん古びた脱衣所だった。
オーバはカゴ棚の影、壁とはさまれた空間に、これまた年季の入った体重計があるのを見つけた。
「おい、見ろよ、これ昔と変わんねぇの。」
「本当だな。それより早く脱げって」
「…早ッ」
デンジのスタイルは既に完璧だった。腰にタオルだ。右手にはご自宅サイズの無骨なシャンプーボトル。自前のシャンプーなんか持ってきてんのな…とオーバは思ったがあれだ。デンジの髪はは合わないシャンプーを使うとものすごく痛むらしい。(確かそう言っていた。)オーバは何を使ったところで特に髪質に変化はなかったからデンジの苦労はわからない。
急いでベルトを外し服を脱ぎ、デンジの後を追って大浴場に入る。すっかり油切れしたガラス戸を閉める。ギギと悲鳴を上げた。
「うおお!狭ッ」
懐かしい謎のにおいも健全だ。実に何年ぶりだろう。


他でもないデンジの手によって整備されたナギサは、いわゆる人工都市という風情になっていた。街の大幅改造に伴ってちょっとしたニュータウンのように、土地はゆったりと使われ、開けた街になったのだ。それでも華やかな中心部から少し離れれば、すぐに、昔の雰囲気を残した住宅街が広がっている。昔ながらの個人経営の商店も転々と残っている。小さな商店街の形も残っている。夕闇に包まれる景色はほんのノスタルジイ。
そんな風景にひっそり溶け込むように、銭湯が、昔ながらの古びたそれが、時代とともに変わることなく、在った。まだあるらしいぞ、とデンジが教えてくれなかったら再び来ることもなかったであろう。


デンジは身体と頭を簡単に洗って、そして銀の浴槽につかった。オーバもそれに続く。なかなかいい湯加減だ。浴槽から見回してみると、洗い場は狭くはないが広くもない。ただ最後に来た時からずいぶん体が大きくなってしまったから狭く感じたようだった。中年男性が2人ほど見える。女性客の利用状況はもちろんわからない。ロビーには見当たらなかった。寂れたように見えたが、近所のおじさんたちにはちゃんと利用されているようだ。

オーバは湯に浸かりながら「でもやっぱり浴槽は狭いな」と思った。デンジはその横で、濡れてもボリュームの変わらない友人のヘアスタイルがちょっと気になっていた。またオーバは「にしても狭いなこの浴槽…なんだか身体くっついて入んないとみたいだし」と思ったところでやっと気がついた。いくらなんでもそこまで狭いはずはなかった。
「デンジ、近い」
「ん?」
「おい…っ」
「まあ、気にするな」
そう言ってサワヤカに笑うなよ。俺たちは今よっかかりながらの横並びだ。俺の右腕はデンジの左腕に密着してる。左側には存在意義のよくわからない柱がある。挟まれた。俺は無駄にあせる。浴槽には自分たち以外の影はない。洗い場にはおっさんを視とめた。まだ一人いる。
「…いるからな」
押し殺した声でつぶやく。
それを聞くデンジはやけに楽しそうだ。
俺はヘンに声を荒げておっさんの注意を引くことを恐れ、ひたすら黙っていた。
こんなところで妙なことになるのはごめんだ。それ以前にバレたらまずい。なにがってそういうことがだ。地元すぎる。
どうやらこのデンジはそういうスリルを楽しんでいるようだ。こうなったら立つ瀬はない。頼むからおっさん早く出てってくれ。
俺の気持ちなんかお構いなしにデンジは俺の耳元で声をひそめる。もちろんおっさんにバレないためにだ。


「おまえ…やっぱいい身体してるな」

鍛えてんだな、と言う。妙にマジメくさった表情、ご丁寧に手を顎に添える仕草を見るに、それは素直な賞賛の言葉だったようだ。
――お願いだからおっさん早く出てってくれ。
すると彼は空気を読んだのか脱衣所へ出て行った。戸の閉まるギギガシャンという音が響く。同時にオーバは浴槽から勢い良く立ち上がった。湯しぶきがおもいきりデンジにかかる。
「おまえは変態オヤジか!!」
対するデンジはきょとんとでもいいそうな顔で見上げた。
「いや…考えてみたら、今までそんなまじまじと見たことはなかったからな。おまえは明かりを消したがるし」
「やめろ!!こういう所でそういう話はやめろ!!」
とっとと出るぞ!と叫びながら確かにそういうことになってから公共の場で裸になるのは初めてだったことに気がついた。
急に湧き出る羞恥心。おかしいだろ。


「今度は明かりもつけてみような」
悪びれずにそういうデンジの頭を、御自前のシャンプーをぶん取って思い切り小突いてやった。






****************


デンジってほんと絶妙に変なことしそう>銭湯に家庭用サイズ自前シャンプーボトル

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