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pkmnのデンジ・オーバとその周辺を愛でる非公式ファンブログ
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戴いたお題で書かせていただきました!^^
後半は少しお待ちくださいませ…











こたつの熱は些か強すぎるのかもしれない、などとだいぶガラではないことを考えた。いやそれは自分にとってというよりは、横にいるコイツにとってという話だ。このうだる感じがなんともよくない。つまりこたつに長居は禁物なのだ。それと、熱にアテられてなんだか妙な気を起こさないためにも。

正月くらいは暇なんだろ、と言って初詣に誘われた。デンジは普段世間の騒ぐ行事に積極的に参加するようなタイプではなかったし、むしろ昔から人の集まりを避けて楽しむ方法を知っているようなやつだったから驚いた。お前が元旦から早起きかよ!云々と笑いながらも、わざわざ珍しいことをしてまで…とかなんとか思うとあまりちゃかすのは悪い気がしたし、何より俺自身もちょっと戸惑うくらい素直に、嬉しかったのだ。こういう気持ちをそのまま伝えることができるようになるにはまだしばらくかかるか、もしかしたら俺達の場合はずっとこんな調子かもしれないけれど、などということをうやむや考えながら電話を切った。実家で過ごす年末の忙しい日だった。

鐘の音を聴きながら年を越し、家族にあいさつをして(バクはもう自分だけお年玉がもらえるということで得意げにはならなかった)、仮眠をとった。早朝に目覚めて感じたのは、ツンと鼻をさす冷気に、新年の清澄な香りが寄り添って、清々しいまっさらな年がまた明けたのだ…と、そういう思いだった。つまり俺は今日の早朝、いやデンジに会って初詣をすましやつの家につくまでは、多くの人がそうであるように、正月のあのしごく清浄な気持ちでいたのだ。


「四天王さんは今年も相変わらず忙しいんだろう…なあ」
デンジはたいらげた大量の蜜柑の皮の山のそばに頭をつっぷしながら、明らかに恨めしそうな目をこちらに向けた。なにかいやな予感はその時からしていたから、俺はなんとなく今指で頂部の皮を破ったばかりの蜜柑に注意を注ぐふりをしながら答えた。指先はもう大分黄色かった。
「去年と大してかわらないと思うけどなあ、それに去年だって言うほど忙しくなかったぜ?」
ナギサにも結構帰って来てたしな、お前に会いにな~なんつって、あー寒かったなオイ今のナシな、とかなんとか言いながら見やるとデンジは相変わらずの様子でこちらを見ていた。一体なんだその顔は。
「お前まさか…クリスマスの時会えなかったのまだ怒ってんのか…?」
「そんな訳あるか」
「じゃあなんだよ!?」
「何かあるって言ったかよ」
「…」
なんだ急に不機嫌になりやがった。こうなるとデンジはなかなか面倒だ。何年たとうがこういうところは変わらないのだ。否、腐れ縁の仲だからこそのなのかと思うとそれはそれで…いやいや甘やかしてはいけない。(それで何度もエラい目にあっている)だが、こういう時はぶつかっていっても逆効果ということも重々承知だった。これは大人な俺の方が折れるべきであるのだ。そうにきまっている。
「あー、去年は色々重なって、だから俺が悪かった!」
新年早々すねんなよいいじゃんか今会ってんだし!と軽く背をはたいてやるが、効果のほどはあまりなかったようだ。
「そんなこと本当に思ってるのか」
相変わらずのジト目。やっぱり怒ってんじゃねーか。俺は最後のひと房を口に含む。
「…本当に悪いと思うならなんか詫びろ。払え。身体とかで。」
珍しいなァ種入ってらこの蜜柑と思っていた矢先だったのだがまさにそれを盛大に噛み砕いてしまった。
「いってオイ種噛んだだろ!ハァ!?おい、ちょっなっ」
なんというか今までそういうもの言いをされたことが無かったのでギョっとした。沈痛な面持ちでのお前を大事にしたいだとかなんだとか言うセリフを笑いもせずに真剣に聞いてやったのは去年のいつ頃だったか、オイオイオイオイ、腕をつかむなおいマジか!!


長年のうやむやが自分の中でもクリアになって、すったもんだ有り、もとい、オーバといわゆるそういう仲になってからも奴は相変わらず街にいないことが多かった。以前はこの気持ちさえ伝えてしまえば、また奴に万が一の可能性で受け入れてもらえるようなことがあればもうそれで思い残すことはない…とまで思いつめる時期があったのだ、ガラにもなく。(この件はもう自分の中でちょっとした黒歴史になりつつある)(全ては患いの元凶がこのオーバであるのがいけなかった)それは去年のいつだったか。しかし現実にはそんなことは全くなかった。
そういった気持ちを互いに了解し合ったあとでもやつは基本的に何も変わらなかった。そこが俺のほっとしたところでもあったが逆に気をもむ部分でもあった。人とは現金ないきものである。なにかというと、なんてことはない、以前とほとんど変わらないのだ。会う時間も過ごし方も。(少なくとも俺はそう感じている)こんなことを恨めしく思っているなどと感づかれるのはしゃくだったので今まであえて言いはしなかったが、久々にこのふざけたアフロを見たらほっとした反面なにかクサクサした感情が湧いてきたのだ。

口をぱくぱくさせるこいつを眺めるのはなかなか愉快な事だったが、自分の言葉もふいに出てしまったものだったので実を言うとこちらも些か焦っていた。しかし久々に会ってそういう気を起こさない方がどうかというものだろう。正直本心だったし、なにより引っ込みがつかない。俺は強行手段に出ることにした。一度手を出してしまえばもう強いもんだ。むしろパートナーを長らくおあずけ喰らっていた俺の我慢は称賛に値するのではないか。これはその報酬として全く見合っているではないか。
「デンジ!デンジちょっと待て!オイ!」
こたつから出て腕をつかみそのまま覆いかぶさろうとする俺にこいつは全力で抗った。そして悲しいことに全力のこいつは俺より存分強かった。嫌がって、というよりは突然のことに混乱していると言った方が正しそうだったが、俺はあえて意地悪く聞いてみた。
「そんなに嫌か」
「…嫌とか良いとかそういう問題じゃねえって!オイ!それにまだ昼にもなって、」
そこまで言って急に恥ずかしく思ったのか口ごもる。こころなしか青ざめて鼻の付け根をひくつかせたのがわかる。――初めてではないが実に久々ということになるから恥じらいはあって当然か。だが知っているかオーバ、それは俺が涙ぐましい我慢をしていた期間でもあるのだ。
「この際はっきり言うが、俺はずっとお前を抱きたいと」
「わー!わー!そういうこと言うなって!」
なんかわかんねえけどそういう言い方すげえやだ!やめろ!と言いながら赤くなりいまだもだもだと曖昧な抵抗をする。長年付き合っていればこれが本気の抵抗ではないことはわかる。そんなことを思い俺もここでようやくちょっと悪い事をしたような気がして腕の力を少し弱めてやる。なんだ。言いたいことなら聞いてやる。
「おい、その」
色気もへったくれもない顔で、今度は赤くなったり青くなったりしながら
「するんなら、じ…準備してから、その」
な、…なんぞと言われてしまったら
俺は折れるしかなかった。

 




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嬉しハズカシうかれた時期
新婚よろしくいちゃつかせると二人まとめてぶん殴ってやりたくなります

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